8/4記念SS連発ひたすら一人で番人祭り
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鮮やかな朱は自分たちの影になる。
歩く度、駆ける度――武器を、拳を振り下ろす度。
重なりすぎて暗い影。
あぁ、こんなにも自分たちは罪深いのだと、セフィリアは言った。
澄んだ瞳で。
透明な透明な底の見えない瞳で。
人と剣
セフィリア隊長から任務を申し伝えられ、言葉をかけてもらったときだった。
「同じ種族で殺し合いをする私たちは、畜生にも劣るかもしれない。」
淡々と紡がれる言葉にはその声音の心地よさとは裏腹にいい知れない影を含んでいた。
「しかし、だれかがやらねばなりません。そして――」
「やるからには、完膚無きまでにたたきのめす。」
「完全に、な」
クランツとバルドルが抑えながらも任務への渇望をにじませる声音で答えた。
ふ、と長いまつげが伏せられ光の加減か瞳の色が暗くなったように見えた。
「そう。下手な情けなどは無用。我々は一振りの剣です。」
時々、わからなくなる。
ただ、クロノスのためと純粋に信じて番人になった。
言いしれぬ幸福を感じた。
これからは、もっと大きな任務を任される。もっと力になれる。
彼女は時折"人"の様な目をする。
私たちは"剣"だと口にしながら。
そう、思う私は番人になるごとに、彼女を知るごとに人と剣の間をさまよう。
コンビ記念の癖していきなりセフィリア隊長。
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初めては戦場だった。
この場合奴と、という意味だ。
肉体的な初めてはもっと早かった。
もちろん教官相手で――破瓜自体は見知らぬ男だったが。
そういう任務だったから。
銃弾の音と爆発音に悲鳴。うめき声。
なじみがないわけではなかったが、一度失敗し、作戦を立て直すにもお互い歯の根があわない状態だった。
任務中のコトは勘が鈍るから房術訓練を受けた物でなければ避けるべきだったのだが。
知るごとに
今でこそ房術を駆使する任務にはついていないが、あれから数年は単独で一度きりの男達を重ねる度に想っていた。
知る度に
男の肌を
熱を
激情を
昂ぶりを
ぶっきらぼうで、痛々しい奴の口づけを。
私の腰をかき抱いたしなやかな腕を。
暗闇でもそれとわかる赤い目を。
知るごとに、思い返す。
"奴"はお好きな方を妄想してください。
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