あぁ。
こんなにも、眠りたくないと思うのは。




空を眺めれば、特に流星群が来ているわけでもないのに星が降る。
本物の田舎という物は、こんな物なのかと感慨にふける。
普段は地上の星ばかりだが、決して届かない物を眺めていると胸が締め付けられる。
地元の人間しか知らない道を教えて貰い、レイチェルは田舎の山頂付近に来ていた。
『ねえさん、せっかく来たんだ。今日は天気が良いから星見てきなよ』
『都会の人だろ?ここじゃ、天気の良い日は流れ星が沢山見えるんだ』
――いつか、天の川を見てみろ。
何時だったかの依頼人の言葉を思い出し、見に行くことにした。
多分、天の川とは多少違うのだろうが満足だった。
どんなに、美しいと言われても都会の星の影には血と腐った臓物の臭いがする。

そんな時、眠ってはならないと、 神経をとがらせる自分がいる。
そんな時、何も見ないで眠ってしまいたいと思う自分がいる。


この星々は違う。
手が届かなくて、守らなきゃならないものも守りたくなる物もない。
ただ、輝いている。

ゆっくりとした脈動を感じる。
心が穏やかな呼吸を思い出す。

あぁ。
こんなにも、眠りたくない。
ため息というには弱く、呼吸というには切なさの混ざる吐息はかすかに白かった






激烈短文。気が向いたら加筆します orz



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