「」 呼ぶ声に応える。 「あぁ。」 イライラとした相手を視認する。 「あぁじゃねぇ!」 案の定、怒鳴られた。 「はいはい。」 イライラの原因? まぁちょっとしたいたずらかな。 「はいはいじゃねぇ…か。」 ぽつり、と。しかし、はっきり届く声でクランツが言った。 見なくともバルドルがパクパク口を開け閉めして顔を真っ赤にさせているのがわかる。 「はい。」 イチゴを差し出してみる。 「いらねぇよ!」 さらに怒らせてしまった。 ここは食堂なのでかなり声が響く。 「うるさいぞ。」 クランツは淡々とオレンジジュースを飲む。 「人が注文したもんを席外した間にほとんど平らげたのはどっちだ!」 だんだんと足踏みしながら喚く。 うん。まぁどっちかね。 「!クランツ!」 しれっとしたままのクランツ。 私も特に何も言わない。 周りにちらほら座っていた人間もトレーを持って離れた場所に移動していった。 バルドルがぎろり、と睨む。 「…そうか…クランツがあっさりを売らない所を見るとクランツ!てめぇだな!涼しい顔してオレンジジュース飲みやがって!」 なかなかバルドルも学習してきたじゃないか。 掴みかかる一瞬前。 「だ。」 ぅおいっ! アッサリ売りやがって! 「クランツだってば!」 うぐ…とオレンジジュースが詰まったような音をたてたのは気にしない。 「ハァ?!」 「クランツだって」 「だ」 「はいはい。カツカレー来たから怒らないの。」 ようやく、追加注文のカツカレーが来た。特大の。 猛然と平らげるバルドル。 相当腹が減ってたらしい。 私とクランツは目配せをして先に食堂を出ることにした。 ◇◇◇◇◇ 「なかなか面白かったな。」 「2人で食べたってのは思いつかなかったんだね。」 「自分の分も食べてバルドルのも食べてって結構きついわぁ…特大だし。」 「全くだ。」 |