凍えるからこそ星は美しい。 そう言ったのはだれだったろうか。 もし、そうなら彼女の美しさは芯が凍えているからなのだろうか。 冷酷に敵を打ち倒す斬撃は三日月の光を。 射る視線は鋼そのもの。 人の仮面と刃の仮面。被る内実は氷の彫像。 暖かな人の仮面を被る度に涙を流し、刃の仮面を被る度に削れゆく。 タイムリミットは一体いつか。 「セフィリア」 「あら、なんですか?」 「報告書を」 「お疲れ様ですね。ベルゼー」 「あなたほどではないさ」 「ふふ。一番上より二番目が挟まれて胃をやられると言いますよ?」 「……そうでもないさ」 強いからこそ痛みは無視して進むことが出来る。 抱いて進める。 そう。 痛いと感じているのだ。 彼女は。 悦びでなく。 戦火に心浮き立つことは無い。 静かにただ沈み、周囲を巻き込み闇に沈みゆく。 そうなれば命長らえて浮上するのは彼女だけだ。 そうして、彼女は生きてきた。 「ありがとうございます」 「……何がだ」 「あなたはいつも、メールでよいところも極力手渡ししてくださります」 「こちらに用があるからな」 「私は大丈夫ですよ」 苦笑が浮かぶのがわかる。面と向かって言われるとどういい顔をすればわからない。 「そうだな」 とりあえず、そう答えるとふわりと笑みが彼女のほほに浮かぶ。 「ご飯、食べました?」 「いや、今からだ」 「いきましょうか」 「ああ、いいな」 定められた役目ならば。 ああ、私は見守り共に闘おう。 日記より採録 |