ただひたすらに自らを削る。
そんな生き方しかお前は知らないのだろうか。



ー―安住の地は何処に。




子供向けのアニメヒーローでお腹を空かせた子供達に自分の顔を食べさせるヒーローがいた。
笑顔で。
正直かなり気持ちが悪かった。
差し出すヒーローも。それを受け取り食べる子供達も。
自らを切り売りしているその姿がレイチェルと被った。
夜空を背負った背中は、そう広くはないが沢山のものが降りかかる。
穏やかに淡々と受け入れる様は贖罪にも似ている。


お前はなにが欲しい?


礼を言われるたび、見せる笑顔の綻びに気づいたのはいつだったか。




与えるだけ。




自らの望みは胸に秘め、閉ざした唇は緩やかに弧を描き、瞳に湛えるのは諦めに似た微笑み。

真実を暴き、捉えるお前は自身のことでは嘘が大半。


いつも俺は苦労をする。


眼を覗き込もうとすると見えないほど接近するからだ。



お前がソレを望むならいくらでも。



お前は何が欲しい?


嘘をごまかすためならソレすら心穏やかではないだろう。

お前は気づいているのか?


自分を、すり減らしていることに。