それからは、三人が交代で休息をとりながら警備を固めることになった。

ジャスティの遊びは派手だが、仕事と遊びの境ははっきりしている。

「今は遊べる時期じゃないのよ。」

そういって、撃たれた直後だというのに遅くまで仕事をしていた。

「警戒して仕事を切り上げるのと遊ぶのは違うよ?」

「仕事はするわ。なんのためのあなたたちなの。」

たくましいことだ、と三人は肩をすくめた。

そして、その夜ー


「ここに泊まるわ」 会社ビルからそう遠くないホテルだった。 「だってもう遅いし、家に帰るにはね・・何かおいしい物食べない?チップ代わりよ。」

三人は同意した。

だが、

「いつもの部屋と」

「待って」

「何?レイチェル」

フロントから離され不満げに鼻を鳴らすジャスティ。

「そういうの、まずいんだよ。いつものって、そんなにこのホテル使ってるの?」

「えぇ。そうね。ここ最近贔屓にしてるわね。週に・・3、4日泊まることもあるわ。手頃だし。」

「まじかよ・・・」

バロールは二重の意味でうめいた。

一つはここの値段だ。

シングルだけでも一泊15万はするだろう。

それを週に3、4日。食事代も入れれば・・・いくらだ?

もうひとつは既に罠が張られている可能性が高いということだ。

「出た方がいいぜ」

ちっと舌打ちするとジャスティを後ろに立つ。

レイチェルも視線でうなずく。

不特定多数の人間が出入りするホテルより警備体制のある程度信頼出来る彼女の家の方がより安全だ。

「ただの気まぐれで寄ったホテルならまだしも・・・な。あーいうのがいるんだよ。」

「え?」

「見るなよ。」

「二人、上から見てる。気づかないふりしてこのまま出よう。」

レイチェルが後ろからそっとジャスティの背中を押す。

「スルエンは?」

いつの間にかいなくなっていた。

「先に行った。車の点検だ。まずぞうなら調達してくんだろ。」







ちっ・・・

上階にいた二人の男の内、茶系のスーツを着た男が外へ出る三人の背を見、舌打ちをした。

「気づかれたか」

こちらは灰色のスーツを着た男。

「で、次はどうすりゃいい?フラット。」

「ここを出る。」

「へえへえ。」

「おそらくは家に戻る。今日は終いだ。出直す。‘ストーン’相手では策を練り直す必要がある。」

「どいつだ?ごつい方の男か?」

「三人共だ。」

「はぁ?よほど金が余ってんのな・・」

「・・ふん。行くぞ、ロシュン。」

全く隙を見せないバロールとレイチェルの背中を見やると、二人はゆっくり外へ出た。








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